万能兵器であるMSですが、多様な運用環境や戦術に対応するために、その黎明期から様々な形態が模索されました。その回答のひとつが主力機の一部を改装することで、仕様特化させる方法でした。ザク・タイプMSでその例が多く見られ、ランドセルと機体の一部を改装して、砲戦仕様や高機動仕様などを開発・運用しました。
この思想は、戦後の連邦軍にも受け継がれ、バックパックの換装による機体の仕様変更が設計段階で盛り込まれました。これが「トランスパック」バリエーションと呼ばれる換装システムです。本システムはT3部隊でテストが行われ、RMS-79CRを経て、YRMS-106 ハイザック先行量産型でも試験は継続され、そこで得られたデータがRMS-106 ハイザックの各種オプションに生かされました。このハイザックの開発で実証された「万能MSによる装備互換による仕様特化」という概念は、TR計画において重要な意味を持つこととなったのです。
▲ハイザックをベースとした「トランスパック」バリエーションの一例。一年戦争時から存在したコンセプトをより設計段階から盛り込むことで、万能MSにより高度な専門性を付与しました。
RMS-106 ハイザックのバリエーション
バックパックの換装によって狙撃・高機動仕様、EWAC仕様、砲撃戦仕様など、様々な仕様での運用が可能となりました。前回紹介したアクア・ハイザックなども同コンセプトのバリエーションといえます。これによりMS単体の運用柔軟性が拡大し、より広範な任務に投入可能となりました。
▲上から、RMS-106CS ハイザック・カスタム、RMS-106C ハイザック・キャノン、RMS-119 アイザック。バックパックの換装以外にも、増加装甲や武装なども追加されており、各仕様に適した最適化されていることがわかります。